箱根駅伝を目指す順天堂大に澤木啓祐・名誉総監督の“パワハラ”指導疑惑。時代錯誤の老害は去るべきか?

箱根駅伝

東京・パリ五輪3000m障害日本代表の三浦龍司をはじめ、10000m日本記録保持者の塩尻和也、初代山の神・今井正人など数々のレジェンド級ランナーを輩出してきた順天堂大学。

そんな名門大学に“パワハラ”指導疑惑という、とんでもないニュースが飛び込んできた。

箱根駅伝の名門でレジェンド総監督が “パワハラ指導”を…  「順天堂大陸上部」選手4人が熱中症で倒れ「救急搬送」「靭帯損傷」 【独自】

順天堂大陸上部にパワハラ指導疑惑が……

記事曰く、澤木啓祐・名誉総監督が「箱根に間に合わないぞ」と10人以上の選手を集め、唐突に1万mを走るよう指示。マネージャーが部員に水を飲ませようとしましたが、澤木総監督は「甘えさせるな!」と激昂。両手でバッテンを示すジェスチャーをして、制止したとのことだ。

寮に帰った後、少なくとも4名が熱中症のような症状。そのうちひとりは靭帯損傷と診断され、箱根への出場も危ぶまれているという。「たくさんの仲間や先輩、若い先生方が殴る、蹴るの暴行を受ける姿をみているため、(中略)走ることしか出来ませんでした」との報もあり、部内の混乱ぶりがうかがえる。

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箱根駅伝4連覇の名将・澤木総監督

あくまでこの記事通りなら、を前提として書くが、さまざまな練習方法がネットを通じて手に入る今の時代において、何が合理的で何が非合理的かは選手がよくわかっている。それは指導者も当然把握しており、まず感じたのは「選手は陸上が嫌になってしまうほどつらい思いをしただろうなぁ……」ということだ。

何を信じれば良いかわからない選手たちは路頭に迷う可能性があるし、走るという単純作業を突き詰める陸上長距離ブロックはメンタルが何より重要。しばらくは周りの雑音に惑わされてしまうかもしれない。

名誉のために伝えると、澤木総監督はランナーとして当時の箱根駅伝2区区間新記録、2大会の五輪日本代表に選出、指導者として箱根駅伝を4連覇と一時代を築いた陸上界の名伯楽。残してきた功績は輝かしい。

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ただ、それゆえに誰も何も言えなくなってしまったのも事実。佐藤圭汰(駒澤大)が更新するまで22年間破られなかった1500mの高校記録保持者・佐藤清治(佐久長聖)を指導した際は「箱根駅伝には出場しない」という条件にもかかわらず、駅伝メンバーとともに北海道合宿で40km走に取り組まされた。本人の意識どうこうはさておき、約束を反故にされるショックは決して小さくないし、モチベーションが下がって当然だろう。

スカウティングが結果につながらない現状

順天堂大学の現状に目を向けると、第100回箱根駅伝はシード落ち。全日本大学駅伝の予選会の突破すらままならず、個々の力はあれどチームとして結果が伴っていないのが現状だ。何十年にもわたってチームに携わってきた澤木氏の想いはわかるし、本来は優勝争いの常連であるべきポテンシャルを秘めたチーム。しかし、アプローチを間違えればこのようなことは起こる。

今年の1年生世代はU20世界陸上にも出場した永原颯磨、都道府県対抗駅伝1区区間賞の川原琉人、10000mで28分10秒台の玉目陸と逸材が揃う“黄金世代”。他大学も羨むスカウティングの成功により、2年後3年後の王座奪還も夢ではないだけに、暗い話題で影を落とすのはなんとも寂しい。

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事の顛末には真偽いろいろ混ざっていると思うが、報道に対して「老害は去れ」という声もあれば「緩い雰囲気があったから当然」という声もある。間違いなく選手もこのニュースを知ることになるだろうし、ここまできたら徹底的に話し合って膿を完全に出し切ってしまえばいいだろう。

ニュアンスは違えど、立教大学は高林監督の体制後に躍進を遂げているし、あの大八木総監督だって駒澤大学不振の時期を経て三冠へと導いた。私はもう、陸上長距離界の逸材がこんなゴタゴタに巻き込まれて陸上そのものが嫌いになる姿を見たくない。澤木総監督から「陸上競技部の指導から退くと申し出がありました」との一文が数少ない救いなのかもしれない。

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