迫りくる駅伝シーズンに向けて着々と足作りに励む各大学。真夏の鍛錬は必ずしや秋~冬の覚醒へとつながることだろう。
この記事では、復活を遂げた古豪・大東文化大学のランナー別10000m持ちタイムを記載。その数字をもとに分析・展望を行う。
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大東文化大学駅伝メンバー2024 10000m持ちタイム
※2024年7月終了時点
学年 | 選手名(出身高校) | 自己ベスト記録 | 3 | 入濱 輝大(瓊浦) | 28.13.80 | 4 | 西川 千青(九国大付属) | 28.19.58 | 4 | 小田 恭平(水戸葵陵) | 28.21.59 | 4 | ピーター・ワンジル(仙台育英) | 28.25.20 | 1 | エヴァンス・キプロップ(セントピーターズカプケチャ) | 28.29.35 | 2 | 棟方 一楽(弘前実業) | 28.32.36 | 1 | 大濱 逞真(仙台育英) | 28.33.58 | 1 | 中澤 真大(埼玉栄) | 28.37.39 | 4 | 大谷 章紘(水城) | 28.39.29 | 4 | 西代 雄豪(桶川) | 28.54.49 | 1 | 清水 雄翔(慶誠) | 29.06.10 | 1 | 松浦 輝仁(坂戸西) | 29.11.46 | 4 | 佐々木真人(大東大一) | 29.25.33 | 2 | 宮倉 騎士(遊学館) | 29.25.74 | 4 | 中澤 優希(仙台育英) | 29.26.45 | 3 | 赤星 龍舞(埼玉栄) | 29.26.71 | 3 | 松本 雄大(草津東) | 29.36.82 | 2 | 庄司 瑞輝(酒田南) | 29.39.97 | 3 | 照井 海翔(一関学院) | 29.56.14 | 2 | 藤原 幹大(東海大札幌) | 29.56.72 |
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真名子体制で止まらないPB更新祭り
箱根駅伝予選会の突破すらままならなかった時代を経て、真名子圭監督の就任後にガラリと変貌を遂げた大東文化大学。世代上位クラスのランナーをスカウティングすることが困難な時期だったにもかかわらず、1万mで28分台前半の日本人ランナーを複数育てた手腕はお見事としかいいようがない。
むろん、記録会や駅伝で走るのは監督ではなく選手たち。今年度の主将を務める西川千青は1区のスターターとして三大駅伝を皆勤することが求められる。持ちタイムではチーム内最速の入濱輝大は翌シーズンを見据えつつエース区間で育てる算段か。完全復活が待たれるピーター・ワンジルの存在も脅威となることだろう。
箱根駅伝で課題となる山区間の対応
ただ、箱根駅伝に限って言えばまだまだ未知数。特に5区6区の山区間が走ってみないとわからないギャンブル要素をはらんだウィークポイントとなっている。区間4位の快走をみせた卒業生ふたりの穴は計り知れない。
定石通りなら上級生のなかから選抜される可能性は高いが、注目したいのは後述する中澤真大。インターハイの3000m障害で決勝に残ったように、タフなレースにも対応可能。山登り適性さえハマれば在学中は“山の大東”を象徴するランナーとして君臨しそうだ。
1年生は“黄金世代”の可能性あり
三大駅伝制覇の夢を現実にするうえで見逃せないのが1年生世代。留学生のエヴァンス・キプロップは創価大学で言うところのフィリップ・ムルワ、スティーブン・ムチーニのような4番バッター的役割を期待したところ。鳴り物入りで入学した大濱逞真、その大濱に迫る時計を叩き出した中澤真大など未来は限りなく明るい。
これは私の持論だが、いわゆる“黄金世代”の歯車がガチッと嚙み合うのは3年生のタイミング。いまの1年生が順調にタイムを伸ばした2年後、すでにチーム上位の持ちタイムを誇る棟方一楽が最上級生になった年が三大駅伝制覇の時だと思っている。そのためにはまずシード権確保を盤石のものにすること。右肩上がりのチーム状況から、決して夢物語では終わらないはずだ。