黄金世代とともに勝ち取った栄光から早5年。まさかシード権落ちがデフォルトになってしまうとは……盛者必衰が世の常とはいえ、誰もが想像できない状況がいまの東海大学には起こっている。
この記事では、予選から箱根駅伝出場を目指す東海大学のランナー別10000m持ちタイムを記載。その数字をもとに分析・展望を行う。
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東海大学駅伝メンバー2024 10000m持ちタイム
※2024年7月終了時点
学年 | 選手名(出身高校) | 自己ベスト記録 | 3 | 花岡 寿哉(上田西) | 28.08.26 | 3 | 兵藤ジュダ (東海大翔洋) | 28.14.75 | 4 | 野島 健太(流経大柏) | 28.27.63 | 4 | 梶谷 優斗(滋賀学園) | 28.27.77 | 4 | 五十嵐喬信(水戸工業) | 28.44.38 | 3 | 鈴木 天智(一関学院) | 28.46.20 | 4 | 水野 龍志(小林) | 28.48.28 | 4 | 越 陽汰(佐久長聖) | 28.48.37 | 3 | 竹割 真(九州学院) | 28.50.39 | 3 | ロホマン・シュモン(市立橘) | 29.07.48 | 2 | 南坂 柚汰(倉敷) | 29.08.31 | 3 | 湯野川 創(東海大相模) | 29.21.40 | 2 | 永本 脩(九州学院) | 29.22.16 | 2 | 大内 瞬(水城) | 29.32.03 | 1 | 檜垣 蒼(倉敷) | 29.33.78 | 3 | 草刈 恭弓(東海大相模) | 29.41.55 | 3 | 上奥 輝(西条農) | 29.47.01 | 1 | 水野 夢大(九州学院) | 29.53.09 | 2 | 中井 陸人(倉敷) | 30.10.16 |
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花岡・兵藤のダブルエースがチームの主軸
東海大学のキーマンは誰か? と問われたとき、いの一番に挙がってくるのが“ダブルエース”の存在。花岡寿哉・兵藤ジュダがそのコンビだ。
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1万mはともに28分00~10秒台。各大学のトップ級と十分に渡り合える持ちタイムと言える。兵藤が「エースはひとり」と言えば、花岡は「ダブルエースがいい」と、捉え方にちょっとした違いがあるのがまた面白いところ。チームを命運を握る両名どちらが欠けても東海大学のピースは完成しない。全日本大学駅伝、箱根駅伝はエース区間の起用が濃厚。1区兵藤→2区花岡で“ロケットスタート”を決める戦略も考えられる。
南坂柚汰の成長がチーム力向上のカギ
ダブルエース以外に目を向けると、学生スポーツらしく3・4年生の上級生が元気な印象。なかでも全日本大学駅伝の関東地区選考会で石田洸介(4年・東洋大)、伊藤大志(4年・早稲田大)ら強敵ひしめく組で6位に入った鈴木天智は、箱根駅伝予選会2023でチームトップの好走をはたしたロード型。ダブルエースから“三本柱”へ進化を遂げる可能性を秘めている。
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ロード適性で言えば南坂柚汰も外せない。第100回箱根駅伝は8区で区間7位と、ハーフマラソン高校記録保持者の片りんを覗かせた。今シーズンはほとんどのレースを欠場しているが、夏合宿での足作りが間に合えば主力候補に躍り出ることだろう。
待たれる“山男”の登場
その南坂の後輩にあたる檜垣蒼は石原翔太郎から続く“倉敷ライン”の1年生。全日本大学駅伝の関東地区選考会は2組目に抜擢されると、5着と好走し1位通過の原動力となった。青山学院大学のエース・黒田朝日をはじめ、女子でも新谷仁美やドルーリー朱瑛里など近年逸材の輩出にいとまがない岡山県の高校出身ランナー。準エース区間での活躍に期待したい。
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実際のところ、東海大学の現実的な目標はシード権獲得だろう。花岡・兵藤のダブルエース+鈴木、檜垣と粒は揃っているだけに、毎年失速が目立つ後半区間の中間層強化が最大のポイントだ。さらに補足すると、中井祥太や西田壮志、中島怜利など東海大学が強い年には山のスペシャリストがいた。“山男”の登場が箱根駅伝でのシード権獲得を導くはずだ。